苗1本につき以下を目安に、汚れていない容器を用意する。
• プランター栽培:
60cm容器必要培養土量=約20リットル
• 鉢植え栽培:
30cm鉢(10号)必要培養土量=約10リットル
肥料を偏りのないように土に混ぜ、深さ15cm以上まで耕す。地温が低い地域ではマルチ(作物の根元の周辺を覆うビニール)を張り、地温を確保する。
定植は、晴れて風の弱い日に行うのがポイントです。トレイの各セルの底部を両サイドから軽く押して、根がセルの形状を保った状態(根鉢)で抜けやすくします。
この作業を行わずに苗をそのまま引っぱると、苗が折れたり、根が切れてその後の生育が大幅に遅れたり、根鉢が崩れ定植しにくくなります。
苗の根鉢が土の中に全部入るように植えつけ、土と苗に隙間ができないよう軽く土寄せします。植えつけ後はたっぷりと水をやり、根を土になじませます。
鉢の場合は1鉢に1苗。プランターの場合は60cm幅で1苗を植えつけます。
菜園(畑)の場合は右図のように幅1.2~1.5m高さ30cmの畝に50~70cmの間隔で1苗ずつ植えつけます。
通常は、定植後1週間程度で活着し、根が伸び始め、苗が生長し始めます。水やりをしないと活着が遅れることがあります。天候不順で低温が続く場合には、寒冷紗などで覆ったり、鉢やプランターは日当たりの良い室内に移して地温を確保し、発根を促進します。
活着後の水やりは、天候や苗の状態を見ながら、土の表面が白く乾いてきたら行います。苗が大きく育つまでは1日1回、朝たっぷりあたえます。外気温が上がり、苗がしっかりと育ち、花芽も出てくるようになったら、土の状態を見ながら朝昼2回あたえます。
あくまでも土の状態を見ながら水やりを行ってください。過度の水やりは培養土中の肥料の流出や根腐れ、軟弱徒長の原因となります。
トマトは図のように茎と葉のつけ根の部分から芽が出てきます。これを、わき芽と言います。わき芽は、そのままにしておくと大きくなり開花し、実をつけます。
しかし、最初の花芽を確実に結実、肥大させるためには、果実に充分な栄養分が届くよう、余分な枝を除きます。その作業を芽かきと呼びます。プランター栽培の場合は、確実に収穫をするためにも、開花したら一度だけ、行ってください。また、わき芽をそのままにしておくと、生い茂って苗元が蒸れ、病害が発生しやすくなるため、これを防ぐ意味でも大事な作業です。
芽かきは、最初の花が咲いた頃に一度だけ行ってください。「凛々子」は芯止まり品種のため、第1花房以降のわき芽も摘んでしまうと、第3~4花房の形成・着果以降、生長が止まり、収穫できなくなってしまいます。
トマトは自家受粉します。たくさんの実がなるように花がじゅうぶんに開いたら、花房を指で軽く弾くようにして受粉・着果を促進させます。最も花粉が出やすい、晴れた日の午前中に行うのがベストです。
追肥を行わないと、着果しても実が大きくならなかったり、生長が遅れたりします。また、肥料が多すぎたり回数が多すぎたりすると、根腐れや葉焼けをおこします。説明書に準じた適正な濃度で、葉にかからないように与えてください。
第1花房が着果したら、プランター栽培の場合1週間に 一度の頻度で市販の園芸用液体肥料を苗元に与えてください。畑の場合は、2~3週間に 一度化成肥料等を与えてください。
「凛々子」は芯止まり品種のため、支柱に誘引したり、立ち上げたりする必要のない無支柱栽培に適しています。基本的には支柱を立てる必要はありませんが、果実に土がついたり蒸れて腐りやすくなったりするため、プランターや狭いスペースで栽培する場合は、支柱を立てた方が(有支柱栽培)育てやすいようです。
支柱は図のように1鉢に1m程度の支柱を立て、ビニールひもなどで苗が折れないように適当な間隔で茎の部分と支柱を結びます(誘引)。誘引する際は、茎と支柱の間に多少あそびが出るよう、図のように8の字型にします。きつく結ばないことがポイントです。
実がついてから通常50~60日くらいで、「凛々子」は真っ赤に熟し、いよいよ収穫の時期を迎えます。トマトは着果してから着色する期間の温度(積算温度)が大体決まっているので、冷夏の場合は完熟する時期が遅れることもあります。実が赤くなってきてもあわてずに、真っ赤に完熟したリコピンたっぷりの 「凛々子」を収穫しましょう。「凛々子」は割れないよう果皮が固くなる加工性に優れた品種です。追熟させたものよりも、樹上で完熟させた方が糖分・酸分・ミネラルなどの栄養分も多く含まれます。
「凛々子」はヘタの上部にジョイント(接合部)のないジョイントレス品種です。
ハサミなどは使わず、手でトマトの実を手前にひねるようにすると簡単に収穫でき、ヘタが茎側に残ります。
日中の日差しが強くなってきたら、果実に直接日光があたらないように注意します。特に、菜園(畑)や花壇などで栽培している場合、露出している果実は一定方向から日差しを受け続けると、色素が抜け白く焼けたような状態(日焼け)になります。
露出している果実は葉が被る場所に移したり、通気性の良い稲ワラなどで覆ったりするのが、日焼けの防止に効果的です。
生育不良は病気とは違い伝染はしませんが、同じ時期に着果した実にはほぼ同じような症状が現れます。もしも、これらの症状がでても、すぐに対応すれば収穫に影響はありません。生育不良の原因は、日照不足、寒冷、多湿、乾燥などの天候不順が考えられます。鉢の場合は、日当たりが良く雨が当たらない、風通しの良い場所に移して様子をみましょう。日々のこまめな水分管理や観察が大切です。
尻腐れ症(しりぐされしょう) | 肥料欠乏症(ひりょうけつぼうしょう) | 肥料過剰症(ひりょうかじょうしょう) | |
|
|
|
|
過湿、過乾によるカルシウム欠乏。特に、土の量が少ない鉢栽培の場合や、着果する時期の水やりの過不足など。 |
窒素、リン酸、カリウム、マグネシウム、カルシウム欠乏など。 |
窒素過剰など。 |
|
発生した果実の回復は望めませんので、取り除いてください。カルシウムを含む追肥を行ない、その後の適正な水分・肥培管理により、回復します。 |
速効性のある液体肥料で不足している肥料分を補ってください。 |
新しい培養土に植え替えるか、水やりの量を多くし、余分な栄養分を流出させるようにします。土壌中の栄養分が少なくなれば回復します。 |
尻腐れ症(しりぐされしょう) | ||
|
||
過湿、過乾によるカルシウム欠乏。特に、土の量が少ない鉢栽培の場合や、着果する時期の水やりの過不足など。 |
||
発生した果実の回復は望めませんので、取り除いてください。カルシウムを含む追肥を行ない、その後の適正な水分・肥培管理により、回復します。 |
肥料欠乏症(ひりょうけつぼうしょう) | ||
|
||
窒素、リン酸、カリウム、マグネシウム、カルシウム欠乏など。 |
||
速効性のある液体肥料で不足している肥料分を補ってください。 |
肥料過剰症(ひりょうかじょうしょう) | ||
|
||
窒素過剰など。 |
||
新しい培養土に植え替えるか、水やりの量を多くし、余分な栄養分を流出させるようにします。土壌中の栄養分が少なくなれば回復します。 |
病虫害は他の株や作物に伝染しますので、発生したら早急に病変部を取り除くか農薬の散布が必要です。農薬は必ずトマトに使用可能なもの(ミニトマトとは異なる場合があります)を使用し、説明書に従って散布する量や回数などを遵守してください。予防(周辺の除草や日当たり・風通しの良い場所を選ぶなど)・早期対処が効果的です。
※詳しい病虫害についてや殺菌剤・殺虫剤等の種類は、お近くの園芸店にご相談ください。
疫病(えきびょう) | アブラムシ | ハモグリバエ | |
カビの一種です。葉では、灰緑色の病斑が出た後、急速に拡大して暗緑色の大病斑となります。茎などにも白色のカビが発生します。果実の場合、未熟果が侵されやすく、ややへこんだ暗褐色の病斑がでて腐敗します。 |
体長は0.5~2mm程で、数種類が寄生します。春から秋まで10回以上発生し、雑草などからも飛来します。成虫・幼虫が葉や茎や果実の汁を吸うため、株が弱ったり、ウイルス病を媒介することがあります。 |
ハエの一種で、幼虫が葉を食害します。食害された後は、白く見えます。成虫は体長2mm程の小さなハエなので、気づきにくく、幼虫は体長1~2mmの黄色のウジ虫で、食害中の場合に白い筋の先端で見られます。 |
|
栽培期間中 |
4月~6月 |
4月~5月 |
疫病(えきびょう) | ||
カビの一種です。葉では、灰緑色の病斑が出た後、急速に拡大して暗緑色の大病斑となります。茎などにも白色のカビが発生します。果実の場合、未熟果が侵されやすく、ややへこんだ暗褐色の病斑がでて腐敗します。 |
||
栽培期間中 |
アブラムシ | ||
体長は0.5~2mm程で、数種類が寄生します。春から秋まで10回以上発生し、雑草などからも飛来します。成虫・幼虫が葉や茎や果実の汁を吸うため、株が弱ったり、ウイルス病を媒介することがあります。 |
||
4月~6月 |
ハモグリバエ | ||
ハエの一種で、幼虫が葉を食害します。食害された後は、白く見えます。成虫は体長2mm程の小さなハエなので、気づきにくく、幼虫は体長1~2mmの黄色のウジ虫で、食害中の場合に白い筋の先端で見られます。 |
||
4月~5月 |